公益通報として保護される通報の内容は、①役務提供先において②一定の法令違反行為が生じ、又はまさに生じようとしている旨であることが必要となります。ただし、③不正の目的がある場合には保護されません。
①役務提供先
公益保護として保護される通報の内容は、役務提供先に関するものであることが必要です。
役務提供先とは、労働者や役員が役務を提供している事業者のことをいいます。具体的には、勤務形態やどういった方が通報するかに応じて、以下のような内容になります。
- 勤務先で働いている場合:勤務先の事業者
- 派遣労働者として派遣先で働いている場合:派遣先の事業者
- 役員を務めている勤務先で働いている場合:役員を務めている勤務先
- 勤務先・派遣先の事業者と取引先の事業者の請負契約等に基づいて当該取引先で働いている場合:取引先の事業者
②一定の法令違反
公益通報の対象となる事実とは、対象となる法律(及びこれに基づく命令)に違反する犯罪行為若しくは過料対象行為、又は最終的に刑罰若しくは過料につながる行為をいいます。
対象となる法律
全ての法律が公益通報保護の対象となるわけではありません。公益通報者保護法では、国民生活の安心や安全を脅かす法令違反の発生と被害防止を図る観点から、「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律」として公益通報者保護法や政令で定められた法律が対象となり、令和4年6月1日現在で、493本の法律が該当します。
犯罪行為、過料対象行為、最終的に刑罰若しくは過料につながる行為
そして、対象となる法律(及びこれに基づく命令)に違反する行為のうち、犯罪行為、過料対象行為、最終的に刑罰又は過料につながる行為(違反を続けることで最終的に刑罰が科される行為)が、公益通報の対象となります。
③通報の目的が不正の目的でないこと
不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的で通報した場合は、公益通報には該当しません。