内部公益通報への対応
国・地方公共団体も、公益通報者保護法が適用されます。
そのため、2020年6月(2022年6月施行)に成立した公益通報者保護法において規定された
・公益通報者対応業務従事者を定めること(法第11条第1項)
・事業者内部における公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとること(法第11条第2項)
が必要となります。
また、「公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」(令和3年内閣府告示第118号)において示された、事業者がとるべき措置の内容に規律されます。
国の行政機関や地方公共団体の職員等からの通報に対応する仕組みを整備することは、国や地方公共団体の法令遵守の確保につながる重要な意義を持つものです。
なお、法第11条第3項は、常時使用する労働者の数が300人以下の事業者については、公益通報対応体制整備義務は努力義務とする旨を規定しており、この規定は国・地方公共団体の関連法人にも適用されることになります。
ガイドライン
内部の職員等からの通報に関し、国の行政機関・地方公共団体向けのガイドラインが策定されています。
(国の行政機関については、公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関するガイドライン、地方公共団体については、公益通報者保護法を踏まえた地方公共団体の通報対応に関するガイドライン)
このうち、国の行政機関については、関係省庁申合せとしてこれに拘束されることになります。
そして、各行政機関は、内部公益通報対応体制等の運用状況について、職員等及び中立的な第三者の意見等を踏まえて定期的に評価及び点検を行うとともに、指針の解説や事業者による先進的な取組事例等も参考にした上で、必要に応じて、内部公益通報対応体制を継続的に改善する必要があるとされています。
そのうえで、消費者等の役割として、
・国の行政機関における内部公益通報対応体制の適切な整備及び運用を図るため、又は個別の通報事案に対する適切な対応を確保するために必要があると認めるときは、通報に関する秘密保持及び個人情報の保護に留意しつつ、各行政機関に対し、資料の提出、説明その他必要な協力を求めること
・法の施行状況を把握するため、国の行政機関における内部公益通報受付窓口の設置及び運用状況、通報への対応状況、職員等への研修の実施状況等について調査を行い、その結果を公表する
・内部公益通報対応体制の適切な整備及び運用に関して、各行政機関の職員への周知、研修等を実施するとともに、各行政機関が当該行政機関の職員等に対して同様の取組を行うに際して、資料の提供、説明その他必要な協力を行うこと
が求められています。
一方、地方公共団体については、地方自治法第245条の4第1項に定める技術的な助言として位置付けられるものであり、各地方公共団体において一層充実した通報対応の仕組みを整備及び運用すること、又は各地方公共団体の規模等の実情に応じた適切な取組みを行うことを妨げるものではない、とされます。
また、各都道府県は、当該都道府県の区域内の市区町村における内部公益通報対応体制の適切な整備及び運用並びに個別の通報事案に対する適切な対応を確保するため、当該市区町村相互間の連絡調整及び当該市区町村に対する必要な助言、協力、情報の提供その他の援助を行うように努めることとされています。