遺産相続や高齢の親の問題でお悩みの方へ

・親が突然亡くなってしまい、遺産がどこにあるのか分からないのですが
・遺産を分けるための進め方は、どうしたらいいのでしょうか
・親の遺言書には、ほかの兄弟に全財産をあげると書かれていた以上、私は親の遺産をもらうことはできないのでしょうか
・親の預貯金は、ほかの兄弟が管理していて私に見せてくれませんが、どうしたらいいのでしょうか
・私自身が親の遺産でほかの兄弟と争ったことがあります。自分の子供たちには同じことになってもらいたくないのですが、どのように準備すればいいのでしょうか

遺産相続や高齢者の親の問題といっても、その状況に応じて解決策もさまざまです。
相談者の方のご希望をお伺いし、最適な解決策を提案いたします。


相続が生じる前の対策

遺言


遺産(不動産や預貯金など)を特定の人に多く残したり、分け方を決めておくことで、死亡後の紛争を予防することができます。

成年後見


認知症の高齢者の方の、財産管理を適切に行ったり、消費者被害を未然に防止したりすることができます。

事業承継


ご自身の会社を、後継者の方へ円滑に承継するためには、事前の準備が必要です。事業承継を、しっかりサポートします。


遺言の方法

民法では、普通方式の遺言と、特別方式の遺言が定められています。ここでは、主に用いられる普通方式の遺言をご紹介します。

自筆証書遺言

遺言者が遺言書の全文、日付、氏名をすべて自分で書いて、押印して作成します。ここでは、自筆証書遺言についての一般的な内容を記載していますが、自筆証書遺言は相続人間での争いが生じる場合が多いため、ご自身で作成される場合には法律事務所にご相談下さい。

自筆証書遺言のメリット

自筆証書遺言を作成したことや、遺言の内容を秘密にしておくことができます。遺言書の内容が明らかになることで、相続人同士の仲が悪くなったり、無用な言い争をするといったことを防ぐことができます。

遺言書を作成するための費用がほとんどかかりません。
なお、後で述べます自筆証書遺言保管制度を利用する場合には、そのための費用がかかります。

自筆証書遺言のデメリット

作成方法が民法で定められていますので、これに違反した場合には遺言としての効力が認められないという危険性があります。

遺言を作成したことを秘密にしていた場合には、亡くなられたのちに、遺言書が見つからない危険があります。
また、作成した遺言を紛失してしまったり、他人が隠す・内容を書き換えられてしまうといった危険があります。なお、このような危険性を減らすために、自筆証書遺言保管制度が設けられました。

亡くなられた後、相続人などが家庭裁判所で検認手続きをする必要があります

自筆証書遺言の作成方式

自筆証書遺言として認められるためには、次のことを満たす必要があります

原則として、遺言書の全文を自分で書く
遺言当時に、自書能力(遺言者が文字を知り、筆記する能力)を有している
日付(客観的に特的できる年月日)を自書する
遺言者を特定するための署名をする
押印をする

自書ではない財産目録の添付

自筆証書に相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合、その目録については自書する必要はありません。そのため、目録をパソコンで作成したり、不動産の登記事項証明書や預貯金通帳の写しなどを添付して目録として使用することが可能です。この場合、目録の毎葉(財産目録の全ての用紙)に署名・押印が必要となります。特に、自書によらない記載が両面に及ぶ場合には、両面に署名・押印が必要となる点に注意が必要です。

自筆証書遺言保管制度

自筆証書遺言を作成した場合には、他人が遺言書を隠したり、自分に不利な内容の場合には捨てたりする危険性があります。また、自宅で保管していたような場合、相続人が遺言書を見つけること自体が難しいという状況も生じます。このようなことを回避するために、平成30年の民法改正により、遺言書保管制度が制定されました。これは、自筆証書遺言を作成した本人が、法務局に遺言書の原本の保管を依頼することで、遺言書の紛失や隠匿を防止したり、相続人の方が遺言書の存在を把握できるようになります。

自筆証書遺言保管制度利用の流れ

  1. 自筆証書遺言を作成して、法務局に保管の申請をする
    • 保管の申請ができるのは、遺言者の本籍地・住所地・遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所です。
    • 保管の申請は、遺言者本人に限られます。付き添い人の同伴は可能ですが、ご本人が出頭できない場合は利用できません。
    • 遺言書保管官は、遺言が民法所定の方式に適合しているかを審査します(内容についての審査はしません。そのため、法務局では、遺言の内容についての質問・相談には応じられません)。
    • 手続きが終了すると、保管番号等を記載した保管証が交付されます。これにより、遺言者の方が亡くなられたのち、相続人の方が遺言書情報請求書の請求手続きや遺言書内容の閲覧をスムーズに行えます。

  2. 遺言者が亡くなられた後、相続人等による遺言書の閲覧
    • 遺言者の相続人、遺言書で受遺者と記載された人、遺言書で遺言執行者として指定された人等は、遺言書を保管している法務局の遺言書保管官に対して、遺言書の閲覧を請求することができます。遺言書の原本を交付すると、交付を受けた者が遺言書を隠したり、内容を書き換えたりする危険性があるため、閲覧にとどまったものです。
    • 遺言者の相続人、遺言書で受遺者と記載された人、遺言書で遺言執行者として指定された人等は、法務局の遺言書保管ファイルに記録された内容を証明する遺言書情報証明書の交付を請求できます。この証明書は、相続登記手続きや銀行での各種手続きに使用することを想定しています。
    • 自筆証書遺言保管制度を利用した場合、通常の自筆証書遺言によるときに必要となる家庭裁判所による検認の手続きは必要ありません。

  3. その他の手続き
    • 遺言者の方は、一旦提出した遺言書の閲覧を請求することができます。そして、遺言書を書き直したいような場合には、遺言書の返還してもらうことができます。なお、法務局では、災害等による原本滅失を回避するために、遺言書の保管とともにその内容の画像データも作成しますが、この画像データの消去も請求できます。
    • 遺言者の方が亡くなられた後、自分を相続人や受遺者、遺言執行者等とする遺言書が保管されているかどうかの証明書(遺言書保管事実証明書)の交付を請求できます。


公正証書遺言

遺言者が遺言の内容を公証人に伝え、公証人が作成する公正証書により遺言書を作成します。

公正証書のメリット

最終的に公証人が作成するため、方式を間違ったために遺言の効力が認められないといった事態を回避することができます。

作成した公正証書遺言は、公証役場に保管されますので、他人による偽造・変造・破棄の危険性はありません。

自筆証書遺言の場合と違い、家庭裁判所による検認の手続きは必要ありません。

公正証書のデメリット

公正証書遺言を作るためには、2人以上の証人の立会いが必要となるため、親族等を証人にした場合には、事実上遺言を作成したことが明らかになることがあります。
(なお、当事務所で公正証書を作成する場合、証人の方をご準備していただく必要はありません)

公正証書作成のための費用がかかります。

公正証書遺言の作成方式

公正証書遺言として認められるためには、次のことを満たす必要があります

証人2人以上の立ち合いがある
遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する(公証人に直接に口頭で伝える)
公証人が、遺言者の口授を筆記する
公証人が、筆記した内容を遺言者及び証人に読み聞かせ、または閲覧させる
遺言者及び証人が、筆記が正確なことを承認した後、各自遺言書に署名し、印鑑を押す
公証人が、上記の方式に従って作成された者である内容を加筆して、署名・押印する

公正証書の保管

作成した公正証書は、遺言者に交付され、公証役場にも保管されます。

公正証書遺言作成をご希望の方は、ご相談ください。


成年後見制度について

判断能力が低下した高齢者の方は、不動産や預貯金などの財産管理や、身の回りを世話をしてもらうための介護サービスや施設の入居に関する契約を結んだりする必要がある場合でも、ご自身で契約をするのが難しい場合があります。
また、よく分からないまま高額な商品を購入してしまったり、悪徳商法の被害に遭うおそれもあります。
そこで、判断能力が不十分な方を保護・支援する制度が成年後見制度です。
成年後見には、任意後見と法定後見(後見・補佐・補助)が定められています。

任意後見制度

任意後見は、本人の判断能力がある時点で、将来の判断能力低下に備えるものです。

任意後見制度利用の流れ
  1. 将来の任意後見人候補者を決めます
    • 将来、判断能力が低下したときに、任意後見人になってくれる人(家族、親戚、友人、弁護士等)を決めます。
  2. 任意後見人にしてもらいたい内容を決めます
    • 将来、判断能力が低下したときに、任意後見人にやってもらいたい内容(施設への入居、医療や介護の内容)を決めます
  3. 公正証書で任意後見契約を締結する
    • 将来の任意後見人候補者との間で、任意後見契約を締結します。
    • 任意後見契約は、公正証書で作成する必要があります。公正証書は、公証役場で作成します。
  4. 判断能力が低下したときに、家庭裁判所へ任意後見監督人選任の申立てをします
    • 家庭裁判所は、申立を受けて任意後見監督人を選任します
    • 任意後見監督人は、本人の親族等ではなく、第三者(弁護士、司法書士、社会福祉士など)が選ばれることが多いです
    • 任意後見監督人の役割は、任意後見人が適正に依頼の内容を行なっているかを監督することです。また、任意後見人が、本人との間で利益が反するような行為をする場合には、任意後見監督人が本人を代理します
  5. 任意後見監督人が選任されると、任意後見人による支援が行われます
任意後見契約の終了

任意後見人は、原則として、本人が亡くなるまで本人の支援を行います。

法定後見制度

法定後見制度は、判断能力が低下した本人について、家庭裁判所が選任する成年後見人等が、本人を支援する制度です。
本人の判断能力低下の程度に応じて、後見・保佐・補助の制度が設けられています。

後見制度

判断能力を欠くことが常況となった本人を支援する制度です。
後見制度では、本人を支援する後見人に、本人の代理権・取消権が認められます。ただし、本人の自己決定権を尊重する視点から、本人の日常生活に関する行為については、取消すことができません。

保佐制度

判断能力が著しく不十分となった本人を支援する制度です。
保佐制度では、本人を支援する保佐人に対して、民法13条に規定された行為について同意権・取消権が認められます。
また、そのほかに、当事者が選択する特定の法律行為について、保佐人に代理権が認められます。
同意権・取消権を認めてもらうためだけの申立てには、本人の同意は不要です。
一方、代理権を認めてもらうための申立てには、本人の同意が必要です。

補助制度

判断能力が不十分な本人を支援する制度です。
本人の判断能力の程度は、後見・保佐よりも高いことから、申立てには本人の同意が必要です。
補助制度では、本人が選択する特定の法律行為について、補助人に代理権・同意権・取消権が与えられます。


相続が生じたあとの流れ

  1. 3か月以内の手続き

    相続放棄:亡くなられた方(被相続人)が多額の債務を抱えていたといった事情がある等、相続人の方が被相続人の財産を相続しないことを希望する場合、相続があったことを知った時から3か月以内に相続放棄の手続きをすることで、相続人とならないことができます。この間に、次の事項を行います。

    ・相続人の確定
    ・遺産の確定
    ・遺言書の有無の確認:遺言書には、公正証書遺言、自筆証書遺言があります。自筆遺言証書がある場合には、家庭裁判所での検認手続きを経る必要があります。

  2. 4か月以内の手続き

    その年の1月1日から亡くなられた日までの所得を把握して、所得税を計算します。
    そして、4か月以内に亡くなられた方の住所地を管轄する税務署に申告書を提出して納税します。

  3. 10か月以内の手続き

    納税手続き:相続があったことを知った日から10か月以内に相続税の確定申告をし、その申告期限までに納税をする必要があります。そのため、次の事項を定めます。
    ・遺産の価値の確認
    ・遺産分割協議
    ・遺産の名義変更手続き

  4. 1年以内の手続き

    遺留分減殺請求
    遺留分減殺請求権は、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないと、時効により消滅します。そのため、遺留分殺請求権を行使する場合には、期間内に手続きを行う必要があります。


相続・高齢者問題を弁護士に依頼するメリット

事前の準備で争いを避ける

ご自身の相続に関して、兄弟間の争いを避けるためには、生前に遺言等の対策が必要です。判断能力が衰えてくると、遺言の際の判断能力が問題となる場合もあります。弁護士に依頼することで、早めに相続の準備をして、無用な争いを避けることができます。

相続手続きを正しく・迅速に

相続手続きには、法律上の期限が定められているものがあります。親族の方が亡くなられた後、ご自身で様々な手続きをする負担は大きいものです。弁護士に依頼することで、相続手続きを正しく、迅速に行うことができます。

話し合いでは解決が難しいケースの解決

親族同士が遺産を分割することになると、長い経緯のなかでの様々な出来事が関係し、ともすると感情的に対立してしまうことがあります。弁護士に依頼することで、冷静かつ客観的に判断することで、相続の手続きを進めることができます。


相続に関するご相談

相続・高齢者問題に関して、初回30分の相談料は無料です。
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