フリーランス新法成立の背景

フリーランス新法とは、フリーランスの方々の取引内容の適正化と、その就業環境の整備を目的とする法律です。
2023年4月に成立し、2023年5月12日に公布されました。実際の施行時期は、交付から1年6か月以内とされていますので、2024年の秋頃までには施行される予定です。
正式には、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律という名称で、実際の法律の条文にはフリーランスという表現はありませんが、いわゆるフリーランスの方々を想定しています。

フリーランス新法の対象者

この法律では、対象となるフリーランスの方々を「特定受託事業者」という表現で記載しています。つまり、「特定受託事業者」に該当する方には、この法律が適用されることになります。そして、「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者のうち、以下の①又は②に該当する方です(法2条1項)。

①個人の場合には、従業員がいない
②法人の場合には、1名の代表者以外に役員がおらず、かつ、従業員がいない

今回の新法以前には、下請法という法律によって取引の適正化が図られていましたが、下請法は資本金1000万円に満たない企業には適用されませんでした。これに対して、フリーランス新法は、このような資本金要件がないため、適用範囲が広くなっています。

フリーランス新法の内容

では、この法律はどのような内容を定めているのでしょうか。

取引内容の適正化に関しては、①取引条件の明示(法3条)、②報酬支払期日の設定、支払遅延の禁止(法4条)、③特定業務委託受業者の遵守事項(法5条)、が定められています。

①取引条件の明示(より詳しく)
②報酬支払期日の設定、支払遅延の禁止(より詳しく)
③遵守事項(より詳しく)

就業環境の整備に関しては、①募集条項の的確な表示(法12条)、②育児介護等に対する配慮(法13条)、③ハラスメントへの対応(法14条)、④解除予告義務(法16条)、が定められています。

①募集条項の的確な表示(より詳しく)
②育児介護等に関する配慮(より詳しく)
③ハラスメントへの対応(より詳しく)
④解除予告義務(より詳しく)

違反した場合

この法律に違反した行為がなされた場合、特定受託事業者は、公的機関へ申し出ることができます(法6条、17条)。
申出先は、取引の適正化に関する内容の場合は公正取引委員会・中小企業庁所管の申出先、就業環境の整備に関する内容の場合は厚生労働省所管の申出先となります。

違反行為が認められる場合、公正取引委員会、中小企業長官又は厚生労働大臣は、特定業務委託事業者等に対して、違反行為について指導、助言、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令をすることができます(法8条、9条、11条、18条〜20条)。