令和5年1月13日景品表示法検討会

不当景品類及び不当表示防止法は、不当な表示と過大な景品類の提供を防止することを目的として昭和37年に制定されました。
平成26年6月には、景品表示法が改正されましたが、その後の社会状況の変化を踏まえて、景品表示法検討会で検討・議論が重ねられ、令和5年1月13日景品表示法検討会から報告書が提言されました。

買取りサービスについての考え方の整理

近年、一般消費者を対象とした買取サービスの普及により、事業者が広告で表示した金額と実際の買取金額に乖離がある広告についての消費者トラブルなど、買取りサービスに関する消費者トラブルが生じています。こで、この報告書では、買取サービスに関する景品表示法の適用についての考え方を整理しています。

買取サービスに関する消費者トラブル事例

買取サービスに関するトラブルとして、次のような事例が報告されています。

・折込広告に買取実績として着物が50万円などと記載してあったので、不要な着物を買い取ってもらおうと来てもらった。一枚一枚査定をしていたので一枚当たり1万円くらいにはなるのかと思っていたら、100円から高くても1,000円ほどで、数十点あったのに全部で9,000円ほどにしかならなかった。

・ヒーターの処分をするため、インターネットで買取業者の広告を見て電話をかけ、家に来てもらった。広告には「家にあるものなんでも、壊れていても負担ゼロ」と書いてあったが、「古いので買取できない、逆に処分費が必要だ」と言われた。その後「何か貴金属を買取に出してくれたら処分費は無料で良い」と言われた。

この点に関連して、「景品類等の指定の告示の運用基準について」では、「自己が商品等の供給を受ける取引(例えば、古本の買入れ)は、「取引」に含まれない」という記載されていたため、事業者が一般消費者から商品を買い取るサービスに景品表示法が適用されるか否かについて明確ではないとの指摘がありました。

景品類等の指定の告示の運用基準について(令和6年4月18日改定)

景品表示法において、規制対象となるのは「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引」について表示をする行為となります(法2条4項、5条)。
そのため、買取サービスについて、単なる仕入れではなく、「消費者が保有する物品を鑑定等して、それを現金に変える」という「役務」を「供給」していると認められる場合には、「自己の供給する(商品又は)役務の取引」に含まれると考えられます。この場合、現に一般消費者に5位人を与える不当顧客誘引行為が行われるときには、現行の景品表示法によって規制可能であり、買取りサービスが「自己の供給する(商品又は)役務の取引」として規制可能であることを明確化するため、運用基準の記載を見直す必要があるとの提言がなされました。

そして、この提言を踏まえて、令和6年4月18日の改定により、景品類等の指定の告示の運用基準の3(4)において

自己が一般消費者から物品等を買い取る取引も、当該取引が、当該物品等を査定する等して当該物品等を金銭と引き換えるという役務を提供していると認められる場合には「自己の供給する役務の取引」に当たる

と明記されました。

これにより、この運用基準に該当する場合には、景品表示法の規制対象となることになります。